Pandoc Reference List で Zotero から Obsidian へ文献リストを取り込む
Pandoc Reference List とは
Pandoc Reference List は、Obsidian のプラグインで、Zotero などの文献管理ソフトからエクスポートした文献リストを Obsidian に取り込むことができます。
具体的にリストアップすると、以下のような機能があります:
- Zotero に保存されている文献を、インラインの引用形式で Obsidian に取り込む
- 文献リストを Obsidian 内で自動生成
- インライン引用にマウスカーソルを合わせると、文献の詳細情報をポップアップ表示
- 引用形式は CSL (Citation Style Language) に対応しており、様々なスタイルを選択可能
作者は Zotero のメモを Obsidianに取り込む、 Zotero Integration プラグインの作者である、Matthew Meyers 氏です。
Pandoc Reference List の機能は、もともとは Zotero Integration プラグイン の機能の一部だったと記憶していましたが、現在は独立したプラグインとして提供されていたようです。
逆に、Zotero Integration プラグイン では Pandoc Reference List の機能はうまく動作しませんでした。
Pandoc Reference List のインストール
- Obsidian を開き、左側のサイドバーから歯車マークの [Settings] をクリックします。
- 左側のメニューから [Community Plugins] を選択します。
- もし [Restricted Mode] がオンになっている場合は、オフにします。
- [Browse] ボタンをクリックして、コミュニティプラグインの一覧を表示します。
- 検索バーに 「Pandoc Reference List」 と入力し、表示されたプラグインを選択します。
以下のリンクをクリックすると、直接プラグインのページにアクセスできます。
- インストール後、 [Enable] ボタンをクリックしてプラグインを有効にします。
Pandoc のインストールと設定
Pandoc Reference List プラグインを使用するには、Pandoc 本体のインストールが必要です。
Windows への Pandoc のインストール
もし Pandoc をインストールしていない場合は、以下のリンクからインストーラーをダウンロードしてインストールします。
もしくは、コマンドラインで以下のコマンドを実行してインストールします。 コマンドラインのほうが楽だと思います。 私はこちらを使いました。
Winodws であれば PowerShell やコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行します。
winget install --source winget --exact --id JohnMacFarlane.Pandocちなみに WinGet は Windows におけるパッケージマネージャーです。 Windows 10 以降であれば標準でインストールされています。
インストールが完了したら、PowerShell やコマンドプロンプトを再起動し、pandoc --version もしくは pandoc -v を実行して、インストールが成功したことを確認します。
Mac への Pandoc のインストール
Mac であれば Homebrew を使うのが簡単です。
brew install pandocPandoc Reference List プラグインでの設定
Pandoc Reference List プラグインの設定を開きます。
- Obsidian の左側のサイドバーから歯車マークの [Settings] をクリックします。
- 左側のメニューから [Community Plugins] を選択します。
- インストール済みのプラグイン一覧から [Pandoc Reference List] を選択します。
- [Fallback path to Pandoc] の欄に Pandoc の実行ファイルのパスを入力します。 Windows の PowerShell であれば以下のコマンドを実行して、パスを確認できます。
where.exe pandocまたは以下のコマンドでも可能です。
Get-command pandocもしくは、コマンドプロンプトで以下のコマンドを実行します。
where pandocMac や Linux であればターミナルで以下のコマンドを実行します。
which pandocbibliography ファイルの設定
Pandoc Reference List プラグインでは、文献を .bib ファイル(bibliography ファイル)もしくは Zotero のデータベースから取得できます。
.bib ファイルのエクスポート自体はプラグインは不要だと思いますが、データベースから直接所得する場合は Better BibTeX for Zotero プラグインが必要です。
また、.bib ファイルのエクスポート自体も、Better BibTeX for Zotero プラグインを使うのが便利なため、インストールしておくことをおすすめします。
Better BibTeX for Zotero プラグインのインストールと設定
- 以下の GitHub リポジトリ のリリースページから最新版の
.xpiファイルをダウンロードします。 2025年9月現在、最新バージョンは 7.0.49 でした。
- Zotero を開き、メニューの [Tools] > [Plugins] をクリックします。
- [Plugins Manager] ウィンドウが開くので、右側の歯車アイコンをクリックし、[Install Pulgin From File…] をクリックします。(画像ではすでにインストール済みです。)
- ダウンロードした
.xpiファイルを選択して開きます。 - Better BibTex for Zotero が表示されていると思います。 もし右側のチェックボックスがオフになっていたら、オンにします。
- [Plugins Manaer] ウィンドウを閉じます。
- 最初の画面に戻り、[Edit] > [Settings] をクリックします。
- 左側のタブから [Better BibTeX] を選択し、プラグインの設定画面を開きます。
- 元の設定を忘れてしまいましたが、デフォルトのままで問題ないと思います。 私は citation key の設定だけ変更していると思います。
- [Citation keys] > [Citation key formula] を
auth.lower + yearとしました。これで、著者名の小文字 + 発行年 という形式になります。
また、デフォルトでオンになっていたかどうかは忘れましたが、[Automatic export] の設定では、[On Change] を選択します。
- 設定を閉じます。
- すべての文献が入っているライブラリである [My Library] を選択した状態で右クリックし、コンテキストメニューから [Export Library…] をクリックします。
- [Export…] ウインドウが開くので、以下のように設定します:
- [Format:] で Better BibLaTeX を選択
- [Keep updated] にチェックを入れる
- [OK] ボタンをクリックし、
.bibファイルを保存します。 保存場所は任意ですが、私は、Obsidian の Vault 内にZotero_libraryというフォルダを作成し、その中に保存しています。
Obsidian での設定
- Obsidian の Pandoc Reference List プラグインの設定を開きます。
- [Path to bibliography] の欄に、先ほど保存した
.bibファイルのパスを入力します。 入力欄の右側のフォルダアイコンをクリックして、ファイルを選択することもできます。 - [Path to bibliography] の下にある [Pull bibliography from Zotero] にチェックを入れます。 これで、Zotero のデータベースから直接文献を取得できるようになります。
試していませんが、Zotero のデータベースから直接取得できる場合は、.bib ファイルからの文献情報取得よりも優先順位が高いのではないかと思います。
いずれにせよ、どちらも設定しておくに越したことはないと思います。
引用スタイルの設定
Pandoc Reference List プラグインでは、CSL (Citation Style Language) に対応しており、様々な引用スタイルを選択できます。
設定の [Citation Style] の欄で、引用スタイルを選択します。 選択する際は、Zotero Style Repository を参考にするとわかりやすいと思います。
また、[Custom citation style] では、手動で CSL ファイルを指定することもできます。 ちなみに、Zotero Style Repository から CSL ファイルをダウンロードできます。
そのほかの設定
そのほかの設定はデフォルトにしていると思います。 念のため、以下に私の設定を示します。
- Citation style language: 空欄
- Hide links in references: オフ
- Render live preview inline citations: オン
- Render reading mode inline citations: オン
- Process citations in links: オン
- Show citekey suggestions: オン
- Show citckey tooltips: オン
- Tooltip delay: 400 ms
使い方
引用の挿入
Obsidian から Zotero の文献を引用することができます。 1. [@ と入力します。 2. Zotero の文献一覧が表示されるので、引用したい文献を選択します。 タイトルや著者名、年で絞り込むことで、簡単に目的の文献を見つけることができます。 3. 目的の論文を矢印で選択し、Enter キーを押すと引用が挿入されます。 または、マウスでクリックしても挿入できます。
- 挿入した引用は、自動的に指定したスタイルに見た目が変わります。 マウスカーソルを合わせると、文献の詳細情報がポップアップ表示されます。
文献リストの生成
右側のサイドバーに文献リストを表示できます。
- コマンドパレットを開きます。 ショートカットキーは
Ctrl + P(Windows) またはCmd + P(Mac) です。 Pandoc Reference List: Show reference listのコマンドを実行します。 途中まで入力すれば、候補が絞り込まれます。
- 右側のサイドバーに文献リストが表示されます。
そのほか、以下のようなことができます:
- 右上の数字の横のコピーアイコンをクリックすると、文献リストをクリップボードにコピーできます。
- 文献のノートが作成されていると、右側のノートアイコンをクリックして文献ノートを開くことができます。
ドキュメントに書いていないので断定できませんが、ZotLit や Zotero Integuration プラグインなどで、citation key をタイトルにしたノートが作成されていると、自動的にリンクされるのではないかと思います。
- 引用にマウスカーソルを合わせたときの詳細表示や、文献リストに水色で表示される DOI はクリックすると、ブラウザで論文のページを開くことができます。
動画
動作について、動画を作りました。 挙動を確認したい方はご覧ください。
感想
Word みたいに引用を挿入したり、自動で文献リストを生成したりできるのは便利です。 しかも、Word よりも引用が早いです。
ZotLit プラグインなどと組み合わせて、Obsidian と Zotero の連携を強化できるのも良いと思います。 論文レビューなども捗りそうです。
参考・情報源
- Pandoc: Pandoc の公式サイト
- mgmeyers/obsidian-pandoc-reference-list - GitHub: Pandoc Reference List プラグインの GitHub リポジトリ
- Citation Style Language: CSL の公式サイト
- Zotero Style Repository: 各 CSL の見た目を確認できるサイト
- Better BibTeX for Zotero: Better BibTeX for Zotero の公式サイト












